薬物乱用防止キャンペーン in 横濱

危険ドラッグって?大麻って?覚醒剤って?

乱用薬物に対する規制

乱用薬物は、覚醒剤やその原料では「覚せい剤取締法」、大麻では「大麻取締法」、ヘロイン・LSD・コカイン・MDMA・向精神薬類等では「麻薬及び向精神薬取締法」、シンナーでは「劇物及び毒物取締法」、その他「麻薬特例法」、「組織犯罪処罰法」および「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器法:薬機法)」などの関係法で法規制される。

危険ドラッグについて

「危険ドラッグ」とは薬機法の規制を逃れるため、大麻や覚せい剤と類似の新しい化学構造を合成し、薬理学的、毒性学的データもないまま闇市場で流通している乱用薬物のことです。2007年から流通の主となっていた「危険ハーブ」や「アロマリキッド」などと呼ばれる様々な製品は、「覚せい剤」に似た構造の脱法化合物(デザイナー・ドラッグ)も混ぜ込まれていて、より深刻な精神症状を示すものが多くなっていた。その中には、既存の法律では取り締まることができない新しい化合物が含有されている場合もあり、その対策として類似の化学構造による包括的規制が実施されるようになった(2013年)。また、2014年には自動車の暴走運転事故に幻覚作用のある「脱法ハーブ」の関与が疑われる事例が発生し大きな社会問題となった。2014年には指定薬物の所有・使用を禁じる法改正がおこなわれ、さらに危険ドラッグ販売店の摘発などの対策も強化されている。

大麻

大麻は繊維の原料として古くから栽培され、世界各地で生育している。大麻は、現在世界でもっと多く乱用されている薬物であり、大麻には樹脂、精油、アルカロイド、ステロイド等が含有され、主成分はカンナビノイドと呼ばれる樹脂成分である。マリファナ(乾燥大麻の葉部を細かく刻んでタバコ状にしたもの)を吸煙すると気分は快活、陽気になり、おしゃべりになる。そして、時間と空間の感覚が変化し、触覚、視覚、嗅覚、味覚、聴覚などの感覚が鋭敏になる。大麻の使用量は中毒患者でも急な増量はなく、むしろ緩和であり、中断してもひどい禁断症状はみられないが、肉体的には衰弱し、顔面蒼白になり、精神的には、無頓着、無気力となり、不安感に悩まされる。一般には大麻の恐ろしさはあまり知られていないが、程度や時間の差はあるにしても本質的には他の乱用薬物と同様の有害性を有していて、マリファナは覚せい剤やLSDと同様にフラッシュバック現象をしばしば起こす。過去において薬物により情緒障害を経験したものは、一定期間後のマリファナの再使用でフラッシュバックが起こり、妄想、幻覚、幻影におびえることが知られている。

覚醒剤

最近のニュースでは、著名な元野球選手や芸能人の覚せい剤取締法違反での逮捕、覚せい剤乱用者の小児が覚せい剤を誤飲していた事件など、乱用の社会的な広がりが危惧されている。

覚せい剤取締法で規制される物質は、メタンフェタミンとアンフェタミンで、それらの原材料として10種類の化学物質が覚せい剤原料として規制の対象になっている。覚せい剤を摂取した場合は、一般に気分の高まりを覚え、陽気になり、疲労や倦怠感は吹き飛び、単純な作業の能率は上昇する。しかし、複雑な学習や慎重な判断、集中力を必要とする仕事の能率は低下する。つまり、覚せい剤により頭が冴えたようになる感覚はほとんど錯覚である。このような中枢神経系の興奮作用と同時に散瞳、頻脈、血圧上昇などの交感神経系の症状を併発する。覚せい剤の作用時間は2~5時間といわれ、その後は、疲労、脱力感が残り、ぼんやりして意気消沈する。覚せい剤は急速に耐性を生じるので、連用すると陶酔感が薄れてくる。そのため、おどろくほど大量を使用するようになる。また、覚せい剤には繰り返し使用による逆耐性(感受性亢進)がある。こうした大量摂取や連用により、さまざまな中毒症状が現れる。すなわち、多弁で陽気な症状から、不安、過敏、焦燥となり、ついには攻撃性をおびてくる。さらに進行すると、せん妄状態、つまりうわごとをいうようになり、錯乱状態に陥り、幻覚、妄想にとらわれ、様々な犯罪を起こしたりする。

覚せい剤乱用に基づく快感の体験は、その陶酔感をふたたび味わいたいという強い欲求を引き起こす。さらに、薬効の消失後に生じる疲労、倦怠感から逃避するため、乱用の反復継続が強化される。その結果、強い精神依存に陥り、自分の力ではその魔力から抜け出せなくなる。覚せい剤の乱用による精神障害の典型は、注視・追跡・被害・関係などの妄想を伴う精神異常である。

横浜薬科大学
教授  篠塚 達雄